月と哭け (二)/アラガイs
 
りながら考えているときも不思議と痛みは感じられない。
最後に出してからの記憶が失せている
これも妙な話しあまり気持ちいいものでもなかった 。

…見られても言い逃れできるわ
そうよ、誰かれにも
彼処しかないのよ、胸安らぐ綺麗な場所って…

このながされた汚物の跡形も残してはいない奇跡
金木犀に鼻を刺激され女子公衆便所は薫る
トイレの中はやはり居心地はよかった 。
…はじめてだよ。
素っ裸になって用を充たす俺の瞼から
汗と薄い文字が滲む白い壁の下には小さな入れ物が置かれ
描かれた象印の落書きを指先でなぞらえば
ぐっと力むと同時に金玉の毛も爽と靡き
久しぶりにぶりぶりと血も透き通る快便が出たの 。











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