夜明け/
salco
東の際に光が触れる
神の指先であるかのような
白く燃え立つ黄金だ
すると慄く暗黒の軍勢は
ぞよめきながら西方へ退却を始める
明け渡された海底の虚は
水圧の頚木を解かれ
藍から青へと浮上する
家々の白壁は可憐な薄紫に染まり出し
薔薇色、緋色を経て黄色で消える、
束の間の魔法の衣装を競う
今しも広やかに澄み切った空
ヴェルディのアリアが吹き渡って行く
黎明のページェントが終わり
清爽な大気の下、ほの暗い静寂が淀む
ゆうべの夢が消えそびれ
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