窒息空間/ドクダミ五十号
 
燕が飛ぶを 見られない町

群れ飛ぶトンボは どこだ

ただドス赤い 夕焼けの

ビルの隙間の 底の闇

嵌り込んでいるのは 何?

コンクリートで厚化粧した

お前の素顔はどんなだろう

窒息しそうなその肌の

悲鳴の様なひび割れに

同情したのか野の花の

哀れなれども逞しく

根を張り茎は伸びている

娯楽は溢れる町 求めるものだ

野生の慰めは 求める事もなく

ただそこに 現としてあり

慰めてくれる 

求めるならば 与えねばならず

その必要は 天然と野生には不要だ

いつか私は見るだろうか

燕を トンボを 望むことなく

この窒息のなかで
戻る   Point(3)