『へ の 人』/るるりら
この悲しみがないことには
慶びがどんなものか
思い出せなくなるような気がして
へらへらしているだけなのだ
への人は
平気な顔をして
つい うっかり
辛いことなんて なにひとつないような顔をして
「へ?」
なんて つぶやいたりする。
それは
まるで
ぺ天使
その おみ足は
地面より五センチほど浮上している
そして その頭は
出る杭のように いつもだれかに叩かれ続けている
どんなに叩かれても
すぐ傍にはいつも 八時二十分の人がいて
泣いてくれる
傍にはいつも 十時十分の人がいて
怒ってくれる
だから
へ の 人 は
結局 最後には笑う
けれど、それは 毎回のことながら
奇跡だ
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