虚しい夜に描いた詩/ただのみきや
 
重たい鉄兜を被せられた人がいる
気がついた時にはすでにそうだったから
それが自分だと思い込んでいる
ゆらゆら不安定に生きていて
ある日たまたまどちらかに傾くと
それっきり右なら右
左なら左へと走って行く
言葉もそう 右なら右
左なら左と どんどん転げ落ちて行く


あたまを置き忘れた人がいる
重たいのも痛いのもいやだから
いっそのこと下ろしてしまえば楽になると
ふわふわ雲みたいに生きている
だけどある日何処かへ行こうと思っても
風に遊ばれぐるぐる回わり すぐに
何処へ行きたかったかも忘れてしまう
言葉もそう ふわふわ軽すぎて
書いても打っても 浮かび上がっては
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