果実/中村葵
 
色彩が夢現の境を決める
柔らかな産毛がつやつやと光り
躊躇うようにそこにあるもの

黄金の液体はさらさらと流れる
破裂しそうな伸縮音

ざらついた肌 伝わる重み
鮮やかすぎるために拒んでいるのか
自分の輪郭さえも

余韻だけが時を越え続ける
そんな美しい夢を見た

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