パスコ/和田カマリ
全て
失くしてしまっていた子供たちも
泣いている彼女を見て
少し不安になった様でしたが
「ぴぃぃぃぃぃ、舟が出るよ。」
優しい笛の音に促されて
いそいそと一斉に
ボートに乗り込んで行きました
休憩時間は終わったのです
ボートは再び湖面を滑るように動き出し
桟橋の上では女店主と子熊が
舟の姿が見えなくなるまで
ずっとずっと
手を振っていたのでした
「ごめんね、坊や。」
子熊をしっかり抱きしめると
彼女は深いため息をつきました
遥か彼方のほうに
新しい子供たちを乗せた
次のボートが見えています
さあ!早く
超熟イングリッシュマフィンの
準備をしなければなりません
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