年忘れ酒/花田春菜
酷く肩が痛むのとつぶやいた夜は
年忘れだった
痛みを誤魔化し酒を飲み
酔いが回ったのは自覚できる
そこで止めたくはなかったのに
止めたくなどなかったのに
最後の詰めは甘かった。
しっかりと自分が解り
頭の回転は速度を増し
背筋は伸びたまま
歩幅も変わらず
ふらつかず
肩だけが痛んで
酒など役立たずだと言い訳。
色濃い夜の風は微かに匂い
肩から首へ首から頭へと伸びゆく痛みの
その信号が気だるくて
一人理由なく涙したことを
それは酒のせいだなどと思い
馬鹿だなと少し笑った。
やっぱり最後の詰めは甘かった。
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