わたしの部屋/もっぷ
わたしはかなしみに愛されているんだ
と確信した夜があった
抱きしめてください
とわたしは言った
かなしみはそっとわたしの許に降りてきて
降りてきて
隣に寄り添って理由をたずねてくる
淋しいから
と当然のことをわたしのあたりまえを
こたえた
するとかなしみはわたしを
うしろから包むようにして自分を
みせないようにして
抱きしめてくれた
わたしは
うれしくてなみだがこぼれて
枕は、枕は、とそんなことが急に気になる
秋ももう十月でそろそろお布団
羽毛のを持っているの
、言わなくってもすでに握りしめているのは
そのカバーのはじっこなのに
みえないかなしみに向かって沈黙から
逃げるように泣き笑いしながら
言った
言葉はどこか、
どこかがバスケットに拾い集めているそれは
どこ、
かなしみというのは実は概念ではなく
場所のことだと初めて知った
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