アンモナイトをおぶさって/ホロウ・シカエルボク
した今日の終焉に
首筋に巻きついたアンモナイトの触手
渦巻きは語れる
回転し続ける言葉みたいなもの
探しても
見つかることのない貝殻
突堤
コンクリートは
いらないものみたいに固い
砂を食わされた
スニーカーの底がぶつくさ言う
歩く
宇宙に設えられた
ひとが歩けるギリギリの通路を
歩く
突然
雲が途切れ
黄白色の月明りが
空へ続く橋をかける
おれはただ見ていた
ひとが歩けるギリギリの通路の終わりで
アンモナイトをおぶさって
足跡を逆に辿る
車のエンジンが聞こえる
驚くなよ
あれは
現代の生きものだよ
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