ウォーターフロント/渡邉建志
 
いるあまりえらくない男性がフロアの広場でぼんやりしている。
社長は4時からあんな遊んでいて良いですよね。4時になると疲れるらしいんだ。
話しながらおなかが減ったのでお弁当を食べる。もともとの目的を忘れていた。
もう夜も11時になってしまったし、彼の請求書のようなもののことも、
本のことも忘れていた。秘書のお姉さんはどこかへ消えてしまっていた。
彼に謝って(お弁当をわたしは一人で食べていたのだ)、
一緒に食べればよかったね、といいながら、役員フロアから降りるエレベータを
待っていると、そのエレベータホールの向いにダンススタジオがあり、
女性社員が3人と、インストラクターが踊っている。
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