信仰と文学に関するメモ 2/るか
信仰と文学、つねに、この順序でなくてはならない。始原にあり、すべての中心をなし、常に先にあり、また未来永劫ありつづける方こそが、神に他ならないという教えを私は受け入れようと、求めたから。人間というものが、あるいは世界というものが、自力ではけして完全、絶対たりえないという断念こそが、信仰の一契機をなしているものと私は思う。それが如実に明らかにされる瞬間がまた、人と世界とが完全でなくてはならないし、そこに意志の目的があることに想到する時であるというのも、また、逆説であろう。すべての人の世の思いは、本質的には、完全であろうという欲望であり願いであるが、これが人間自身の力によっては原理的に不可能で
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