風のなかの詩人たち/石川和広
 
途絶…

もうひとつ
佐々宝砂さんや、斗宿さんにも
読むことをすすめたことがあるのが
これも、先の大戦の中。一兵卒として戦死した竹内浩三の「骨のうたう」

    骨のうたう

 戦死やあわれ/兵隊の死ぬるや あわれ
 遠い他国で ひょんと死ぬるや/だまって だれもいないところで
 ひょんと死ぬるや/ふるさとの風や
 こいびとの眼や/ひょんと消えるや
 国のため/大君のため
 死んでしまうや/その心や

 白い箱にて 故国をながめる/音もなく なんにもなく
 帰っては きましたけれど/故国の人のよそよそしさや
 自分の事務や女のみだしなみが大切で/骨は骨 骨を愛
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