風のなかの詩人たち/石川和広
途絶…
もうひとつ
佐々宝砂さんや、斗宿さんにも
読むことをすすめたことがあるのが
これも、先の大戦の中。一兵卒として戦死した竹内浩三の「骨のうたう」
骨のうたう
戦死やあわれ/兵隊の死ぬるや あわれ
遠い他国で ひょんと死ぬるや/だまって だれもいないところで
ひょんと死ぬるや/ふるさとの風や
こいびとの眼や/ひょんと消えるや
国のため/大君のため
死んでしまうや/その心や
白い箱にて 故国をながめる/音もなく なんにもなく
帰っては きましたけれど/故国の人のよそよそしさや
自分の事務や女のみだしなみが大切で/骨は骨 骨を愛
[次のページ]
戻る 編 削 Point(8)