赤い翼を持った天使/高原漣
 
沙の夜に

伽藍伽藍とまわせ

斜視の僧侶の足踏みが

韃靼韃靼と

おお踏む、沙の海に曼荼羅を描いてゆく

翔ける、赤い翼を持った天使が月から星へ

骸の上にも虹がかかる

まわせよ無明の左の眼玉

歪んだ水晶玉に映る赤い翼を持った天使が

紐帯を断ちにくる

染め赤や国の敗れて惨禍あり

ただひとときの春のまぼろし

戻る   Point(2)