独月/阿ト理恵
 
いたつもりでした。
好きだという自由と嫌いだという自由が平等であるためにもね。

って希望は
遥かかなたに吹き飛んでいったわけで。

なにかしなければと思っても、なにもできずにいる。
タレ流しのテレビをなんとなく見て、なんとなく考えて。なんかするという機能がぶっこわれちまったみたい。冷蔵庫開けても見つからない。

テレビのチャンネルも電話のダイヤルも時計の針も回すものだと思っていたアナログなわたしは、ソフトやマックやアップルが食べ物じゃないんだとわかって、ゆうちゅうぶを携帯からぶらぶらしたら猫動画ばかりみていて。美しいリアルな星空をみるために山へ登ることもせず。
弓のような月が金星に
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