誰もが腹を立てている/まーつん
指先から通い合う 体温の交換
ああ しかしそれは表向き
仮面の下に隠された男たちの眉間には
地に走る亀裂のような皺が刻まれ
涙の干上がった女たちの眼は
日照り続きの塩湖のようにひび割れている
抑圧の下でもがく生物の本能にとっては
文化の洗練を誇る筈のその衣装も
色鮮やかな拘束衣にすぎない
今夜 彼らは
神への冒涜を耳にした
旧約聖書の住人の様に
己の衣を引き裂きたがっている
そう この社会では
己が手で作り上げたルールが
自分たちを幸せに導くだろうとは
実は 誰一人として信じてはいない
自分たちの行動が
本心から望んだ選択であるとは
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