エスカレーターを駆け下りようとする馬鹿なやつ/ただのみきや
 
国々は歴史というエスカレーターに乗って
ゆっくり 未来へ向かって登って行く

いつまでも いつまでも
赦すことのできない憎い後ろ姿が見える

煩わしい声に ふと 振り返ると
遠い過去から睨み続ける視線がある

どちらもそこに立ち止ったまま 距離は縮まらず
国々を乗せたままエスカレーターは登って行く

あっちに登って行くことも
そっちに降りて行くことも
出来ない理屈はないけれど
そこに根が生えたように動かない 動けない

誰かが誰かの加害者
誰かが誰かの被害者

憎々しく誰かの背中を見つめながら
「おまえのやったことを決して赦しはしない」

 同じように
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