いちょう/木の若芽
「いちょう」
木の若芽
こがねの木
青空にさんさんと輝く
この色調はなんて澄んで神々しいことか
十月のいさぎよい高らかな宣言のようだ
天への感謝をたたえて
*
木よ ゆうべの月を見ましたか
鳥たちは静かにあなたの枝で眠っていた時刻
鳥たちの夢を飾ってやるように
月のしずくをその梢に受けとめましたか
するどい繊月が萎えかけたわたしを突いた
真の理を映す鏡
その純白がわたしを射た
目は木に
耳は鳥に
心は宇宙に
どうやって生きていこう
茂れるときに茂り
枯れるときに枯れ
木の潔さに習いたい
だが人はいさぎ悪く
いかにして生きるかを考えてしまう
*
いちょうの黄金なす葉
惜しみない祝祭
誰よりもわたしの小さな生を祝福してくれて
ありがとう
その金色のじゅうたんを踏み分けて
これがわたしの幸の道
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