call/紅月
 
いきものたちの正方形は
どこまでも直角であればいい
といのるそばから
いびつにつづく石畳の久遠に
分化しゆくあわい複眼の滴が砕ける


雨煙のなか
ただ立ち尽くす
(なまあたたかい東西の壁)
水に濡れた枯葉の群れから
数多の挨拶は失われてゆくから
つらぬくような凍えのなかで
かわいた吸気の骨格の
なだらかな勾配のさなかへ
投身する空蝶の両翅/花弁
あざやかなくちびるから垂れる
一条の宿り木のこんじきの蜜が
たわむれるゆいいつの音楽として
罅割れた石畳を叩きつづけるのだから
もうなにもいわなくてよいから
水彩の絵具がふりそそぐ螺
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