9月の風鈴/マーブル
 
何の目論見のなく響いている
吹いている
響いている
それらは水に落下した絵の具のように
混ざりながら
いつの間にかひとつの色に落ち着くのか
落としては混ざり
混ざりながら落ちてゆくのか






硝子をたたく風は
髪をゆらす風は
背中を追い越す風は
何の目論見もなく
吹いては
ひび割れている






わたしは枯れた花をみつけた時の気持ちと
光りつづける星を見つめる時の気持ちは
どこか似ていると思う
山猫は牙剝いて月夜を
歩いている
昼間は優しく眠っているはずさ
ざらついた気分を
あのオリオンに委ねたりしながらね
すべてが薄紅だった
そんな眠りさえ
ひどく優しいのだ






あらしを告げる9月の終わりに
終い忘れた風鈴がきらきら泣いていた















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