別れの詩/……とある蛙
単純な方法に慣れて親しんでいたおれには、この街の未来がありありと見えていた。ありとあらゆる工場は廃墟と化す前に打ち壊されて、その代わりに実体のない紙幣に踊らされたモラリストたちが残飯を食ったりするレストランや、たるんだ腹を伸ばすための瀟洒なサロンが入った人工のビル街に変わるのを。この街に天使などいやしない。あるのは人の懐を狙ったペテン師が操る化け物たちだけだ。おれはろくすっぽ金も持たないのに恐怖した。それから、おれは一生懸命弁明したのだ! おれの精神は無秩序のため混乱を来していて、今、窓からのぞかれるスカイツリーすらまともに見ることが出来ない。重い病になったこともないが、俺は働きもせず無為に過ご
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