昭和遺文/梅昆布茶
 

そしていかにも知ったフリをしてこう言ったものだ

まんざら生きるのもわるくないみたいだな
なんてね

そしてバイクのタンクでリズムを刻んで
似合いの音楽を
さがしてみたりもしたんだ

やがて時間が時間を呑み込み
時計の針が風化し
ぜんまい仕掛けの人生がゆっくりと
動きを止めるまで

ときどき凪いだ時間が
熱をさましている
間だけでも

アスファルトに記された
僕たちの記憶を
消さないで欲しいと思うのだ




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