昭和遺文/梅昆布茶
浜川崎から羽田線に乗る
古い高速道路はそのまま川崎大師の大鳥居をくぐり
モースの大森貝塚を三周程して
干し網の漁師たちを驚かす
ようやく京浜急行が高架になり環八がスムーズになっても
森永キャラメルやラムネや
ソースいかの匂いのする町並み
ステテコおじさんなんちゅうゆるキャラが似合いそうな
懐かしい僕の中の昭和史
洟垂れ小僧たちが路地裏を占拠し
世界は怪人とヒーローが活躍する舞台だった
まだ函館に居た頃親父の実家が貸し本屋をやっていて
いとこたちと遊ぶよりもぼくは
ゲゲゲの鬼太郎と多くあそんだ
一家はやがて北から南下し
漫画の買えなかったぼくはともだ
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