台風奇し/木の若芽
 
暗い部屋の窓の外あの木の下が 光の逃げたありどころかも
天の裁きの声間近くて 光りなき朝の裏庭奇(くす)しく光る

嵐は夜 武蔵野襲う孤賊かな
雲は石に 風は人家に 雨は固き生き霊として叩きつけらる
凪がんとする風まだ見えて 白鷺のS字の首の羽一枚 川面流れて荒川の果て

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