高校生一年生の朝/yamadahifumi
だけだった。パチンコ屋にでもおいてありそうな奴だ。・・そこには俺の似姿が映っていて、そいつは次の瞬間にはもう俺に語りかけていた。
「お前は誰だ?」
「俺は・・・俺だ」
「なら、入れ替わろう。今日から、俺が「お前」だ。」
こうして、俺は「お前」となり、お前は「俺」となった。こうして、この世界に一大転機が訪れた。俺は全てを失う事によってこの宇宙を手にし、奴は・・・・奴の事なんてどうだっていい。奴は、別の宇宙に消えてしまったんだ。
俺は精神の眼で全てのものを眺めた。人間はどこにもいなかった。そこには宇宙の創世の秘密や、神が造った真実がちらついていたのだが、俺の目に映ったのは、なんといっても、あの天の川の美麗だった。俺は天の川の水をすくって、足下にそっとかけた。俺の足は膝下から順番に透明になっていき、そしてやがて・・・俺は消えたのだ。
こうしてまた一大転機が訪れた。・・・俺がふと眼をさますと、俺は一人の高校一年生の男子となっていたのだった。
戻る 編 削 Point(0)