ぼくのテレパシー 2010/たま
なんだかいちばんつらいなぁって、おもう
テレパシーだって道にまようことがあるのだろう
知らないまちから招待状がとどいた
れんちゃん、ちょっと出かけてくるね。
おるす番たのんだよ。
東京は何年ぶりだろうか
上野から十五両編成のながい列車にのった
小金井行だった
大宮あたりをすぎると都会のにおいがきえた
田植えのおわったばかりの水田の一角に
こおばしく色づいた麦畑がみえた
水無月のとなりに麦の秋が佇むうつくしい風景だった
久喜でのり換えてようやく
羽生というまちにたどりつく
みわたすかぎり平らな大地に
まあたらしい駅舎だけがぽつりと目立つまちだった
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