秋の校舎/
朧月
制服は重かった
着る理由も教えられないまま
私たちはだれもが脱げなかった
なにかというと並ばされた
振り向いて
目があうことがこわくて
ホントウノコトがほしくてたまらなかった
大人たち
と ひとくくりにするとき
私たちはひとつになった気がした
秋の光は 風は
いつもあのころを思い出させる
制服は重かった
それを着ていない今
どうして私は身軽じゃないんだろう
蔓は上へのびて
とらわれているのは
校舎だったはずなのに
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