初秋/ドクダミ五十号
 
雨の夜に思う 秋の初めの未だ残る緑の葉

鋭く細長い葉を纏った 細長き胴の先

風に振り乱だされる 白髪が如き穂

星も月も無く 徒に寂しく暗い野で

薄よ お前は そぼ降る雨に打たれて

恨めしそうに 項垂れて 垂らしているか

穂の先から 涙のように

鋭利な葉により 傷ついた指先の過去の

痛みは胸に昇ると言いたくなるのだ

幾度と無く訪れた 初秋の感傷である
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