色を嫌うレンズ/まーつん
あくまでも真っすぐな 日差しの輝きに触れ
自分の心の ねじれや たわみに 気付かされた時
それ故に 我を取り巻く景色に 憎しみや 煩わしさを覚えたとき
人は無意識の内に このコンタクトをはめる
涙に濡れた 瞳の上に そっと重ね
あるいは
諦めに乾いた 瞳の上に
わななく指先を掲げ ぎこちなくのせる
すると景色は
迫るのをやめる
報われない求婚者のように
灰色の花束を持った手を だらりとさげて
その場に佇んだまま ゆらゆらと体を揺らして 所在無げ
世界が色褪せ
あなた自身も色あせる
あるところに
色を嫌うレンズがあった
それが愛したのは形
そして光と影の
バランスだけ
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