の、誕生/
もっぷ
書き留めた春は儚くて
夢香のように消えてゆく
さえずる鳥は初夏を待ち
孵ったあの日を忘れてる
きらきら、と
ではない夜の星も
さやさや、と
ではない風の声も
きらきら、として
さやさや、として
得意顔で辞書に収まり
誕生前夜の幻影は
見た子の瞼に
き、っと焼きついて
原風景となるのだろう
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