約束の朝/まーつん
 
誰にも届かない言葉を綴ろう

僕は 夜の井戸に吊るされた剣(つるぎ)
永遠の愛を探し求める 一匹の蛾

その羽は古い靴下のように 穴だらけで
沈むことのない夕陽の その逆光に透けて
無気力なセピア色に 黄ばんでいる

夜の檻に閉じ込められた
夢見る者たちの鼓動に
耳を澄ませながら

月の照り映える川面に
目を奪われながら

行き場のない思いが 暗闇を走る

二音間をせわしなく行き来する
ピアノのアルペジオを伴奏に

裸の心が走る
雨に濡れたアスファルトを 走る

君よ

朝日の梯子に手をかけて
土くれの子宮から 地表へと這い登る
生まれたての 雑草のように

僕を出迎えて

来るべき 約束の朝に
僕を 出迎えて

約束するから
蜥蜴のように這いつくばって

君に 口づけすることを

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