秋分ごころ/木の若芽
 
「秋分ごころ」
               木の若芽



思わぬ涼しさ しその花草かげに
薄い秋雲の下 まだ固そうなざくろもかきも
どこから見てもかわゆし美し 生り熟れるもの

四季の胸のもっとも広くなる秋よ

彼岸花に火をつけていく 妖精の魔法のマッチ
秋の赤い花の宴も始まり 月は白く太る
月と米の白さ同じ 豊かにまろし

枯れるもの咲くもの うち混じってうららかに光る

すでに字の中に秋ある愁いかな
かなしいのではなくてただただやさしいため
愁いを与えてくれる彼岸の光のありがたさ

不思議にやさしく落ち着いた心で神秘の世界を 秋彼岸という日に

秋分の風にもよおす雨 うながされる花の菊
光咲くかげで ふじばかまの香り立ちのぼる

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