『Pamela, or Virtue Reward』/森永裕爾
 
『Pamela, or Virtue Reward』。この作品の断片を読んでの感想、気付き、そして自分なりの考えを以下に記す。
まず、Pamelaを論じるに当たって、18世紀当時のイギリス社会を取り巻いていた時代背景を振り返ってみたい。その理由は次の通りである。小説とは愛に理屈を込めた初めてのものであるとする。そうであるならば、人間の本能である愛の対極にある社会的所産である社会の枠組みを概観することで、小説の輪郭を明確にできると考えるからである。
18世紀に世界初の産業革命を経験したイギリスにおいて、それ以前は身分制に基づく共同体的社会によって、社会が安定していた。そこに、貨幣経済に原理が
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