穴ぼこ/かなりや
かくしているようであるが、全くかくれていない。
わたしたちは穴ぼこだらけである。
穴ぼこの中にあまいだけのキャンディをかくし、穴ぼこそのものをかくし、つるんとした、瀬戸物のかおをして、作られたもののふりをしている。
穴ぼこがどこからきてどこへいくのか、わたしたちは知らない。
こすもすをみて、ようやく一年がたったことを知ったという。
そんな調子でいるから、まだここにとどまったままなのだ。
あまいだけのキャンディは忘れさられて、穴ぼこの中で、どろどろにとけた。蜜。
それでも蟻やなんかに見つかることもなく、隠したことも、穴ぼこがあったことも、忘れられていく。
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