原風景/もっぷ
もう
過ぎてゆくばかりの歳月
(こんなにも、やり直したいのに!
ちいさな失敗も
大きな過ちも
消せない歴史の重さといったら
さもないひとりのちっぽけな憂鬱でしかないのだけれど
自分だけを見守ってくれている
自分だけの神さまは
彼女が育ってゆく毎に
どんどん冷たくなっていくようだった
試練
なんて言ったらきっと申し訳ない程度の
試練
なんだと言い聞かせても説き伏せられない
自分の弱さ無力さに
自分の意固地にかなしみに
いつか訪れるのだろうか
哀れみを他の存在に許して見つめることのできる日が
原風景は黙して語らずその色彩のみが
少女に宛てて
時には
本当の愛を告げたい
と
そう願っているようだった
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