素直/マーブル
 

隣ん家の白い猫が鳴いている
早朝五時に朝ごはんをねだって
起き抜けのご主人様の足元を
くるくると尻尾を巻き付けては
あのグレーの瞳で上目っ面気どっているのかもしれない
どうもその声に少しいらだったね
今のわたしにそっくりだったから
嫌気がさして
タバコに火をつけて
ぼんやり天井を見渡したくらい
それくらいだけ












案外難しいな
素直になるって
いつも飛んでいるから
もうすぐ二十八になるんだけど
あんたはその年
どんな生き方をしていたのよ
少なくともわたしには
ぶっ飛んでいるようにしかみえなかったんだけど
わたしが
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