誰も/はるな
 

誰もいない
重ねる手も
合わせる膝も

誰もいない
目をとじても
ひらいても

波さえ
だんだん遠のいて

かわいたページを繰るように
日がしゅんと消えていった

誰もいない
海べに
よりそって

思い出せないことを
思い出していた



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