原子論/佐藤伊織
 

愛や憎しみは力でも原子でもなかったという驚き
あらゆる原子の内に秘められた精神

なにもかも包み込むような恐怖が
優しさの毛布によって包まれている

そう
すべて
とか
最後のとか

そういう言葉をつかって漏れてしまう無数の言葉が

さざなみのように視界を埋め尽くす人の群れが信号の線路のビルの隙間に流れ込む私は優しさに包まれている



それは原子を崩壊するまでつなぎ止めている

原子の光よ
私たちは太陽を

握りしめた


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