兵士の為のピエタ/salco
青い空を切り取って
それも丘に埋めたのだ
まるでお前の目のような
きれいに澄んだ青空を
果てなく自由な青空を
閉じたお前の目の為に
春が来れば
硬くお前の口一杯に
詰まった土も温もって
いくぶん喉が軽くなるだろう
笑い声の代りに蝶も飛び
風は草地を優しく撫でる
お前の母がしたように
故郷へ帰る雲
あるいはどこか遥かな土地へ
ここかしこ
触れ合い語る術もなく
見も知らぬ敵や味方の屍達と
お前も亦ここに在る
眠っている、とこしえに
川瀬の音も知らぬげに
花は毎年生まれ出で
何故に墓は朽ちるだろう
冷たい石のおもてに名を刻み
若い肌のまま消えた
お前はきっと今も走り続け
血まみれの世界と叫びを留めた
ファインダーは開いたままだのに
それでも私を呼んだかい?
艶やかな胸を鉄の弾が貫いた時
母が何をしてやれただろう
輝く明日を鞄に残したまま
泥まみれの軍靴を脱ぐ事もない
お前を守るべきだった
赴くお前を刺すべきだった
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