風の歌/佐藤伊織
 

死にたいと思う事だけが
私のすべてだったと
死ぬ前に思うのだろうか

死にいそいで
殺して欲しいと
頼む

風がくるから
わたしは
また
それに包まれて
どこかの温かい優しさに
包まれてしまうから

あらゆる意味と善意が
私の口を塞ぎ
私の目に手をあてる

だから
わたしは
風の歌を聴く










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