空の繭/高原漣
 
薄れかけた痛みがまたリフレーンする

足を引き摺るように

黄金色にぼんやり照らされた坂を駆け上がっていく

瞳孔に白金のかけらをちりばめた少女が、

繭を、

採りにゆく。

かばんにいっぱいの絶望と、

灯火をひとつ詰めて

「あ、」

見上げる空に灰は満ちて……



墨染めの蝶が舞う、また墜ちる

展翅の館では熾火がちらつく

磔刑された昆虫、蟻たちが

生体を解体している、

分子が踊っている。



繭は輝く、

不完全な羽化をしてしまう

「待って、」

少女は手を伸ばす

端正な顔がゆがむ。

無指向性の慟哭。

その、孤独な右手に

つかむ

ものは

何だ
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