つじつまの虹/るるりら
 
いわれの無い 悲しみは
こどもの頃の 押入れの匂いがするから
布団のすきまに押しこんだ
この目は きっと赤

ともだち
と いう響きの電話の声が
「いまから 出かけない?」と言うなら
それは たびだち

おさない あの日と かわらぬ正直さで
「あそぼ」のこころの車ごと
谷合いの霧の中に つっこめば
もう 押入れの中のことは 思い出せない

霧の中では緑はより深い息吹になって そよぐ
山の中で 霧は雨になり 
にわかに雨になる
雨は豪雨になり 雷鳴を呼ぶ
あらゆる木々を あらゆる土を川を
雷が ゆさぶるから なぜか すべて可笑
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