一滴の水遊び/……とある蛙
落下する一滴の体液
足下に舗装された道が広がる。
一滴の体液は一滴の水ですらなく
足下を潤すことはない
アスファルトに吸収されることもなく
側溝に流れる粘り気のある体液
全て虚偽の中から生まれた体液
それが現実だと無理に信じ込むもの
一瞬の水遊びの
反省もなく
落下する精神の一滴
不毛の砂漠が拡がる
一滴の水はオアシスとなり得ず
砂礫の隙間から地下水脈に吸い込まれる
蒸発するのでは無い。
胡散霧散するのでは無い。
現実だと認識できない
有限な組み合わせ
宇宙の果ての水遊び
アンバランスな砂浜、空と海
その隙間の渚
メルヘンとは無縁の水遊び
一滴の水は水銀飴(みずあめ)のように
鈍く重く銀色に輝く
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