朝を待つ/コーリャ
/朝焼けを待つ。そのあいだに。口当たりのいいことばかり。話してしまうのを許してほしい。希望や。理想。その怪物的な言葉たちの。立つ瀬がなくなっていく。冬の夜の海浜の。そこここに。誰にも模写されたことのない。不燃性の生き物たちが身を波に洗わせて。すこしづつ体の色をうすめていく。彼は凍えながらそれを眺めている。吐く息が眼鏡のレンズを。バターでも刷いたようにくもらせるから。動物はみんな機械仕掛けにみえてしまう。ヒトデは。波の白さが。接触しあい。ショートして。エラーを起こしている場所から。気だるげに誕生して。そのままのかたちで。かつえながら死ぬのを待つのだろうし。海岸にしきつめられた岩砂は。いつかの満月よ
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