ひかり めぐり/木立 悟
水が水に触れ むらさきとなり
抱くことも抱かれることもないものに降り
通りは昼に 午後になり
壁の後ろに朝を植えてゆく
ゆがみが集い
ゆがみ無きものとなり
鏡を捨て瞳を外し
夜の夜の前に立つ
息はめぐり
遅れたものを追い抜くことなく
分かれた姿を置いてゆく
見えない円の
外の外にまで
たどり着くため
花を曲がる
友の家は
常に変わる
空や星や樹の裂けめ
あふれるものから名はあふれ
背を向けるものの背を流れ落ち
抄うことのない手にしがみつく
粗い明るさのみなもとの
あちこちで罠が鳴り響き
捕らえられたものは無く
花ふらす曇の末裔は
空にむらさきを描いてゆく
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