金曜 午後 交差点 で 君は言う/吉原 麻
わたし、このままでもいい?
と言った 僕の 恋人 の首筋を見て
僕は 自分の背筋が 凍る のがわかった
薄ら寒くなる陽気 の 中で 彼女の放つ空気は すぅっ として
水色と桃色の合わさった 色 だ
このままじゃだめだ
というのはわかっているのだけれど
そんなこと 言える はず ない
なぜなら彼女は 自分 を信じていて
そして
僕 を信じている
君はそのままでいいんだよ
僕はマフラーに埋もれた彼女の襟元を
必死で撫でるんだ
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