屈折点/梅昆布茶
ろう
本当はピサの斜塔は5.5度の角度で空にめり込んでいて
ガリレオは鉄の玉を空に向かって魔法のように舞い上げたのだろうか
時代によって場面によって時の速度が変わるように
様々な角度で僕達は様々な密度の世界をすり抜けて生きてゆく
ときに反射して照り返し
屈折してあらぬ方向へとばされてはまたはね返って
ときに収束して炎のように何かを焼き尽くして
それでも万華鏡のようにくるくると巡る世界の断片となって
日々小さな模様を織り成してゆく光のように
時代が屈折しても世界が反転してもそうやって
自分の時を刻んでゆく無邪気な魚なのかもしれない
泳ぎきったさきも知らぬげに
まるで光と戯れるように
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