ろまんちすと/ただのみきや
人の輪に入って行く時 まるで踊れない無骨者のよう
彼は狂信者ではない むしろ現実主義者なのだ
人はこの世に存在し始めてから何一つ進化などしていない
争い奪い合う方法が 強者が弱者を支配する仕組みが 快楽の種類が
より洗練されて便利になって手軽に行きわたるようになっただけ
彼は知っている やがてすべてが滅び去ることを
その魔法はどこか悲しげだ 煌めく光の向こう 終わりが透けて見えている
それでも彼は変わらない
心の宝箱にはあの頃のビー玉が今も詰まっている
ロマンチストもやがては死ぬ
だが死に絶えることはない
己の存在価値について問われれば
トランプのジョーカーみたいに笑ってみせる
君だってそう 彼の目にはクイーンなのだ
ハートかスペードかは別として
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