しずかな午後/
朧月
老人ホームでは
いねむりするひとが多い
あっちで うとうと
こっちで こっくり
いっしょうけんめいに
ねむっている
そのしずかな風景は
さなぎの待機のようだ
白い髪にときが重なりあって
細い肩に
背負ってきた歴史が羽毛になってふわふわと
羽ばたいてゆく
老人ホームのさなぎたちは
私になつかしさを与えてくれる
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