叙事詩??物語・詩??/……とある蛙
 
死んだに違いない。

         河島英昭訳

 パヴェーゼの「ボッジョ・レアーレ」※1という詩は刑務所の中で書いたもの「灼けつく土地」はイタリア南部の流刑地で書いたもの。
いずれも流麗な詩ではありません。しかも人称が定まらない詩です。詩の主体が遠方から対象を見ているようで、その中に抜き差しならない事件が惹起されているようでもあります。

短い窓が安らかな空のなかで
心を落ち着かせる。誰かが満ち足りてそこで死んだ。

 「ボッジョ・レアーレ」はパヴェーゼが流刑地に行く直前収容された刑務所です。
 一連目から「短い窓」という言葉が出てきます。短い窓を見ているのは獄舎を遠方
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